歌舞伎に女形がいる理由 [雑談ネタ#33]

男が女に扮するという歌舞伎の女形(おやま)は世界で唯一の存在だ。
そもそも女形というのは、なぜ生まれたのだろう…気になって調べてみた。

歌舞伎は、慶長年間に出雲の阿国が京都で披露した「かぶき踊り」を起源とする。
この踊りはすぐ各地に広まり、遊女たちが阿国を真似て女歌舞伎を興行するようになった。遊女たちは踊りを終えると宴席に招かれ、酒食を共にしたあとで一夜を明かすというのがお定まりのコースだったようだ。

ところが、そのうち女を巡って喧嘩が頻発するようになり、幕府は風俗の乱れを防止する目的で、全国の女舞・女歌舞伎・女浄瑠璃などを一切禁止してしまった。
この法令は明治維新まで解除されなかったために女優は姿を消し、演劇に不可欠な女性の役を女形と呼ばれる専門の男優が演じる伝統が生まれた。


ちなみに、女歌舞伎が禁止になると、それ以前から一座に配属されていた美少年たちが若衆歌舞伎というものを始めた。しかし、これまた男色の対象となったことから、幕府は彼らの前髪をそり落とすように命令。
その結果、従来のように容貌の美だけに頼れなくなったため、技芸そのものの向上に力を注ぐようになり、今日の歌舞伎芸術の伝統が育った…という次第。