猛烈指揮者のあえない最後 [雑談ネタ#54]

オーケストラといえば全楽器が揃って演奏を行うのが現代では常識であるが、じつは17世紀までは皆バラバラだった。


それを今日のように改めたのが、フランス宮廷楽派の作曲家兼指揮者だったリュリ(1632〜1687) である。
なにしろ彼の指揮棒というのが変わっている。長くて太い丸木のような棒で、これを振り回すかわりに床をドン、と突いたらしい。
あるときなど、ヴァイオリン奏者が自分のいうことをきかないので、怒ってヴァイオリンを取り上げたうえ床に叩き付けた、という逸話が残っている。

この猛烈訓練法によって、リュリはパリのオーケストラをヨーロッパ随一のものに仕立て上げたのだが、ある日に猛烈さ余って、例の巨大な指揮棒を誤って自分の足に振り下ろしてしまった。運悪くその傷口からバイ菌が入ってしまい、それがもとで命を落とすはめになる。享年55歳だった。