世界最初の地下鉄が走ったのは、1863年1月3日のロンドン。
メトロポリタン鉄道が市内パディントンとファリントン街間6キロに敷設した。
地下工事は開削工法で行われ、下水が流れ込む事故も起こったため悪臭がひどく、トンネル内も真っ暗だった。
それでも開通当初から多くの乗客が押しかけ、最初の半年間で1日平均2万6千人が利用したらしい。
この地下鉄はまだ蒸気機関車牽引式だったが、列車がトンネルを走る時は煙も蒸気もいっさい出さないという条件で工事を認可された。
これは、トンネルに入った時に機関手のバルブ操作によって、蒸気を煙突から排出せず、パイプでタンクへ導いて水で冷やすという方式を採ったことによる。
ちなみに乗客の中には硫黄の臭気が呼吸器の病気に良いだろうと考え、療養のために利用した人もいたという…。
ロンドンの地下鉄が電化されたのは約四半世紀後の1890年だった。