マシンとミシンは二重語 [雑談ネタ#92]

同じ外来語の同じ単語から来たものでも、日本では異なった意味に使われている外来語がある。これを二重語という。

たとえば、自動車などを指すマシンと縫い物をするミシンは、ともに英語のmachineから来ており、ゴルフのアイアンと衣服のシワを伸ばすアイロンは、どちらも英語のironから来たもの。
ほかにもたくさんある。敷布のシーツと雨よけのためのシートは、sheetから。
労働者の同盟罷業のストライキと野球のストライクはstrikeからだが、前者は経営者に“打撃”を与える意味、後者は“打つべき” という意味から使われるようになった表現だ。

さらに挙げてみると、布の長さを表すヤールとゴルフなどで用いられるヤードはyardから、トラックとトロッコはtruckから。野球のセカンド(二塁)と陸上競技のセコンド(秒)とボクシングのセコンド(選手の付き添い人)は、いずれもsecondから。ビール瓶などに貼ってあるラベルと、「宇多田ヒカルが新しいレーベルでCDを出す」というときのレーベルはlabelの二重語である。


こうした二重語は、元の英単語がもつ多義性を防ぐ意味でなかなか役に立つが、元の英単語がそれぞれ別の単語から来たと誤解されるマイナス面もある。

ちなみにガラスとグラス、コップとカップ、ゴムとガムは、もともとは同じものを指す単語だけれど二重語とは呼ばない。それはガラスとコップとゴムはオランダ語、 グラスとカップとガムは英語から来た言葉だからだ。