宵越しの金がない江戸っ子 [雑談ネタ#95]

「宵越しの金はもたない」というのは、江戸っ子の気前の良さを表す言葉。
金銭にケチケチする人間を「しみったれ」と軽蔑し、思い切りの良さを誇る気性は、今日に至るまで江戸っ子の美風として残されているようだ。

ところで、宵越しの金はもたないというのは、じつは江戸名物とまでいわれた火事の多さから生まれた言葉だ。
ほぼ60年に一度といわれた大規模火災、12〜13年に一度の割合で発生する大火・・・しかも江戸っ子のほとんどは借家住まいだったから、借家をもつ名主や豪商を除いては「火事と喧嘩は江戸の華」とばかり、命さえ無事だったら火事をそう深刻に受け止めなかったらしい。


江戸市中は木造家屋が密集しているうえに、当時の消火活動といえば延焼を食い止める破壊消防が主力。
そして、燃えてしまえば、くよくよせず翌日からまた槌音高く家を建て直す。
これがまた労働力の需要を呼び、景気の刺激につながっていく。
こうした伝統がDNAとなって作用し、第二次世界大戦後の焼け跡から奇跡の復興を遂げさせたのかもしれない。

それにしても、この江戸っ子気質、ある意味では美風というよりも、宵越しの金がなかったというのが真実かもしれない。